一期一曾
2009.02.26 『おくりびと』
葬儀の際に、行われる湯灌の儀式。
お棺にご納棺する前に、故人様のお体を今一度、洗い清める儀式です。
その昔は、『古式湯灌』と言われ故人様のご家族がぬるま湯を用意して、手ぬぐいを湯に浸し故人様のお体の御足から御頭まで順に拭いてさし上げたそうです。
もちろんそうした習慣の残っている地域も日本のどこかにあることでしょう?
映画『おくりびと』のなかで、行われていた着物を着せ替えて差し上げたり、死に化粧を施す作業は、いわば『湯灌の儀式』です。
映画のなかで、納棺師という言葉が使われていましたが、まさに湯灌の作業を行う人こそが納棺師ということなのでしょう。
さすがに、映画の様に素晴らしく手際よく、きれいに故人様のお着物を着替えさせることは、実際は困難なのかもしれませんがきっと『心の中』は同じだと思います。
葬儀を通じて、湯灌の儀式のことを初めて知る方は多く、その言葉の意味も分からないお客様が沢山おります。
ひとつ、ひとつの湯灌の内容をご説明させていただきましてから、お客様の納得を得られてから作業にうつるように弊社では心がけております。
湯灌の儀を行うのは、専門の業者が行いますから費用も必要になります。
湯灌の儀式とは、映画『おくりびと』の中で紹介されている部分だけではなく、実際は浴槽を用意して故人様の御頭をシャンプーで洗い清め、体全身を洗い清め、シャワーで流し、爪を切るなどの作業が含まれます。
映画『おくりびと』での内容は、弊社では”化粧納棺の儀式”として表現し、”湯灌の儀式”とを区別しております。
葬儀社により、”湯灌の儀式”の費用はまちまちで、高いところでは1回の湯灌の作業料が十数万円必要になることろもあるそうです。
映画の中では、納棺師の会社は隙間産業だと紹介されておりましたが、そうかもしれませんね。
しかし、私の考えからするとたとえば、葬儀に1~10までの段階が在るとするならば、その真ん中あたりに『湯灌の儀式』が行われますが、かなり重要な大切な儀式だと考えております。
隙間産業でありながらも実は重要な産業で、一番身近で、故人様のお体に直接触れて行われる儀式であり、故人様がきれいな状態になり、普段と変わらぬ姿に戻るのですから、お客様の心の中に”安心”の二文字が刻まれるのです。
初めて湯灌を依頼されたお客様は、最初は半信半疑で行われた儀式が湯灌後には、全てのお客様が湯灌をして良かったと言われるくらいありがたい儀式だと感じております。
この映画『おくりびと』を通じて、人として一度は必ず通る道になる『葬送儀礼』が少しでも身近に考えられて、人の命の大切さや、人に対する思いやりや、人としての生き方にも良い影響が保たれることを心より祈念いたします。
映画『おくりびと』は、葬儀社の立場から見ても違和感の少ない良くできている内容だと感じました。
感動して涙も自然に流れ出し、映画中のもっくんに『この仕事をしていて良かったね』と心の中で叫んでました。
これからも、胸を張って葬儀の仕事を正直に真面目に、行っていきたいと考えております。(憲)

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